不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 観客席から、うぉーっと歓声が上がる。

 はっとして見れば、ジリアンとゲオルグ、ダレルが三方向から入ってくるところだった。

 闘技場の中央に立つと、ゲオルグは手を振ったり大きな動作で歓声に応えた。ダレルは笑って軽く手を上げ、ジリアンも一応片手をあげる。

 彼は無表情で周囲を見回していた。三者三様の動きが性格を表している。

 まず、現国王の出身であるフォンダン家の当主が挨拶をする。カーライルとダレルの父親で、国王の従弟になる。国王と同じで、かなり高齢だ。

 諸外国の賓客への礼や、一般庶民への諸注意も交えて、王国の歴史にも触れる。

「ゲルツ王国の安泰と繁栄を願う」

 締めくくりは、たぶん何百年と続いた言葉だ。安泰と繁栄が、言うだけでなくきちんと繋げられているのはすごい。
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