不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 ジリアンがくれた指輪をそっと撫でる。新しい指輪は、嵌めてもらった時点で、波動のようなものを感じた。彼の魔法発動力は確実に上昇している。

 ルースは満足そうに続けた。

「いまのジリアン様なら、次期国王になられるのに、なんの不足もないでしょう」

 目の前で繰り広げられるジリアンとダレルの戦いにも彼の現状は如実に表れている。

 魔法戦闘は佳境に入っていた。

 隆起した地面がジリアンへ向かって鋭くぶつかる。

ジリアンは土塊を浮遊魔法で避けると、槍のような形の氷結を繰り出してダレルを追いつめていった。

 闘技場内の隅には、八か所に監視者が立っている。

 対戦者が『負けを認める』と言った場合、すぐさま戦闘を止める役目を持つそうだ。

 ある程度の魔法力を持っているが、戦闘に巻き込まれて死亡する場合もあるという。

 過酷な仕事だ。
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