不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 通路の中から、カーライルの激しい怒りの声が聞こえたと思ったら、エルマが縛られた彼女を担いできた。そしてテオハルトの横に下す。

 エルマはまゆこの近くへ来て、ゲオルグに頭を下げた。

「手助けをありがとうございました」

「いやいや。ザカール族か。滅びたかと思ったぞ」

 棒を見れば分かるようだ。エルマはなにも答えず微妙な笑みを浮かべただけだった。

同じようにルースもゲオルグに頭を下げたが、彼の方は文句を言わずにはいられなかったようだ。

「私のところに潜り込ませたのは、あなた様ですね。マユコ様の誘拐も指示されましたか。マユコ様はジリアン様のご婚約者ですからこれは……」

「情報収集はどこでもやっているだろう? ルース、脇が甘かったな」

 ルースはぐっと詰まって言葉もない。
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