不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
「いい薬になっただろうが。礼を言ってほしいくらいだぞ、ルース。だがな、マユコを攫って来いとは言っていない。走りすぎたな、テオ」

 ゲオルグは非常に冷徹なまなざしで腹違いの弟を睨みつけた。

「僕は兄上のために! だって、マユコがお気に入りでしょう。攫っていって、兄上に献上しようと考えたのは、それほど間違っていたとは思えません」

 献上とまで口にする兄弟の歪なやり取りを聞いて、まゆこは呆れてしまう。

 さらに呆れたのはゲオルグの言い分だ。

「献上されるような女に興味がわくか。逃げるから楽しいんじゃないか。すげなくされるのはいいぞ。ひ弱そうなマユコが足で踏んでくれたら、すさまじく快感を得られそうだ。想像するだけでたまらん」

 ……あぁ、ヘンタイ。

「足でならいくらでも踏んで上げるわよ。放しなさいって」

「カーラが踏んでも、少しも楽しくないぞ。今回はやりすぎだ。ジリアンは闘技で王となった。これで障壁の修復が終われば、婚約者のマユコは王妃候補だぞ」

「候補ならまだ解消できるでしょう! わたしは、ジリアンの」

「あいつの〈ただ一人〉は――あー……別にいるぞ。諦めろ」

「いやっ」
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