不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 彼の目が見開かれて、慌てた様子で半身を起き上がらせた。

「すまん。驚かせたか。つまり私は……基本的に女性のことをあまりよく知らない。いきなりではまずいのかどうかが分からない。マユコ、わたしが言ったことはひどいことだったのか? 嫌だった? ……なぜ、泣くんだ」

 頬に当てられていた彼の手が外れたのが、とても残念だった。

 ――そういえば、ジリアンは女性の涙にひどく弱かったんだ……。

 分かっていても溢れる涙を止められない。

 ぼろぼろと泣きながら、まゆこは自分の心を吐露する。

「好きよ。ジリアン。わたしを助けてくれてありがとう。またウィズに連れてきてくれて、ありがとう。あなたの傍にいられるのが嬉しい」

「マユコ……、私の方こそ、おまえが来てくれた奇跡に感謝する」

 すぅっと伸びてきた腕に、まゆこは抱きしめられる。

 抱き寄せられて、軽々とベッドの上に寝かせられた。
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