不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
あの日。
ジリアンに手を引かれて、落ちた先から〈晩餐の間〉へ向かった。
思わぬ道行になったが、格好悪いことにまゆこは平坦な廊下で何度も躓いた。
ドレスのスカート部分を摘んで上げても、裾さばきが上手くいかない。
慣れていないのは明白だったが、それだけではなく、無傷だから平気なはずが高所からの落下は精神にかなりの負担を強いていた。
自覚する以上に、足元が覚束なくなっていたようだ。
ジリアンはまゆこの様子を見て、晩餐は次の機会にしようと言った。
「一人でゆっくり食事をするのがよさそうだな。別の話もあるし、引き合わせておきたい者もいる。食べるのが遅くなってしまうが、そちらを先にしよう。そうすれば、食事のあとすぐに休める。まずはマユコの部屋へ戻るぞ」
「わたしの部屋?」
「ベッドがあった部屋が寝室だ。そのつながりに、風呂や着替え室、書斎もある。あの辺り一帯がマユコの部屋になる」
「一帯……って。寝室だけでも、一人で使うには広すぎるよね」
「私の大切な客人を、ただの客間に入れるわけがない。あの一帯は代々、公爵夫人の居室として使われてきた。私にはまだ妻がいないから、マユコが使ってくれ」
――公爵夫人の居室! それをわたしに使えと? ジリアンは独身……。そのあたりで、自ら思考を停止する。
ジリアンに手を引かれて、落ちた先から〈晩餐の間〉へ向かった。
思わぬ道行になったが、格好悪いことにまゆこは平坦な廊下で何度も躓いた。
ドレスのスカート部分を摘んで上げても、裾さばきが上手くいかない。
慣れていないのは明白だったが、それだけではなく、無傷だから平気なはずが高所からの落下は精神にかなりの負担を強いていた。
自覚する以上に、足元が覚束なくなっていたようだ。
ジリアンはまゆこの様子を見て、晩餐は次の機会にしようと言った。
「一人でゆっくり食事をするのがよさそうだな。別の話もあるし、引き合わせておきたい者もいる。食べるのが遅くなってしまうが、そちらを先にしよう。そうすれば、食事のあとすぐに休める。まずはマユコの部屋へ戻るぞ」
「わたしの部屋?」
「ベッドがあった部屋が寝室だ。そのつながりに、風呂や着替え室、書斎もある。あの辺り一帯がマユコの部屋になる」
「一帯……って。寝室だけでも、一人で使うには広すぎるよね」
「私の大切な客人を、ただの客間に入れるわけがない。あの一帯は代々、公爵夫人の居室として使われてきた。私にはまだ妻がいないから、マユコが使ってくれ」
――公爵夫人の居室! それをわたしに使えと? ジリアンは独身……。そのあたりで、自ら思考を停止する。