不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
「おまえが落ちた窓は、外からは入れないよう結界を敷いてある。強力な縛りだ。落ちる可能性はあっても入られることはない」

「城の中なのに、そんなにしなくちゃいけないほど危険があるの?」

「本来はない。魔法闘技が近い今は、山ほどの間諜が暗躍している。この家に突然現れたマユコを探りに来るのは時間の問題だろう。私に気付かれずに入り込むような輩なら、相当な力を持っているということだ」

彼女の存在自体が、バーンベルグ家の秘密に直結している。秘密を知っていると他の家の者に分かれば、危険度はもっと上がりそうだ。

「そうか……。気を付ける」

「気を付けるのは私の役目だ。マユコはウィズ世界を楽しんでくれ。それと、これを渡しておく」

 ジリアンが次に出してきたのは、透明で小粒な鉱物が点々と輪になって埋め込まれた銀色の指輪だった。

 彼が閉じた掌を開けると、そこにちょこんと乗っていたのだ。

 握っていた様子は見られなかったから、いきなり現れたという感じだった。

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