秘書課恋愛白書
「やっとこっち見た。目合わせなさすぎ」
「ははっ…いや、なんか…こんなところでばったり会うとは思わなくて」
「俺、先月まで海外で仕事してたんだよ。で、こっち戻ってきて挨拶回りしてる最中で京都支社に来てたらお世話になった先輩に飲みに連れ回されてさ。でも今日は車だから飲めないってわけ」
それも、マリカから聞いた。
海外で仕事してて、まさかこっちに帰ってきてここでバッタリなんて偶然にも程がある。
「綾女は?なんでここに?しかも一人?」
「仕事の出張で…。ついでに観光しようと思って」
「仕事…ってあの、秘書?」
「……言ってないのになんで知ってるのよ」
矢継ぎ早に質問責め。
あの後一切連絡を取ることを辞めたからどこに就職出来たかなんて私はユウには伝えてない。
なのになんで知ってるの?
不審に思って隣を見れば、なんとも言えない表情をして見せる。
「…大学の友達に聞いた。綾女と連絡が取れなくなったから」
「取れなくなるようなことしたのはどこの誰?」
「……ごめん」
今更謝られたって消えない記憶、癒えない傷だってある。
もっと早くそれを言うべきだったのではないか。