秘書課恋愛白書
実を言うと私が小学生の時に両親は離婚していて、私は母の方に引き取られて女手一つで育てられた。
その母が体調を崩して入院したのは私が就活を終えてすぐだった。
まるで、私が決まるのを見届けてから逝ってしまった母の顔は幸せそうで、忘れることはないだろう。
高校も大学も私のために必死に働いて不自由なく暮らしてこれたのは母のおかげで。
ユウと別れて追い討ちをかけるような母の死に、私も死にたくなったのをよく覚えている。
だから母との思い出が色濃く残ったマンションも耐えきれずにすぐ手放したからユウが行っても人の気配がなかったのであろう。
「…ごめん、それも知らなかった」
「だって、言ってないもの。知らなくて当然」
言ったところでどうにもならないでしょ?
起こってしまった全ては変えられることもなく、時間を巻き戻すこともできない。
全ては5年前に思い出も全部置いてきた。
だから私は強く生きてこられた。
仕事だけが生き甲斐で、マリカだけが唯一信頼できる親友で。
ユウなんか、今日会うまでただ昔付き合っていた元彼として忘れ去っていたものだったのに。