秘書課恋愛白書

いざ会ってしまうとあの頃の気持ちが戻ってしまう自分が怖い。

植え付けられたトラウマも、何もかも許してしまいそうになる自分が嫌だ。

今になって時間が解決してくれた、なんて思いたくない。

ぎゅう…と膝の上に置いた両手を固く握り締めて俯く私の片手をそっと取るユウ。


「綾女、俺は5年前に別れた日から動けずにいる。ずっとどこかで綾女を探していた。いつかどこかで会えるんじゃないかって期待してた」

「何言ってるの…馬鹿じゃないの。私は会いたくなかったの」

「調子が良いように聞こえるのはわかってる。でも本当なんだよ。確かに仕事を始めてからも何人かと付き合ったりもしたけどいつも綾女と比べてる自分がいて、綾女じゃなきゃダメだって気づいた時にはもう色々手遅れで…」

「やめて!!そんな言葉、…聞きたくない」


取られた手をパッと離して両耳を塞ぐ。

これ以上、私を苦しめないで。


「嫌だ、やっとの思いで会えたんだ。言いたい」

「それ以上言うなら私は帰る!さよなら!」


ガタン、と私が立ち上がった勢いでカウンター席が揺れる。
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