秘書課恋愛白書
「こっち見ろよ。綾女、俺の目を見て」
ぐっと顎を捕まれて顔を上へと向けられる。
涙で滲んだ視界でユウの瞳が揺れる。
周りからみたらただのカップルの痴話喧嘩。
いくら地元ではないといっても夜の繁華街の外れでみっともない醜態を晒してることに変わりはない。
だが、ユウは私を離してはくれない。
私が身動げば、余計に抱きしめられてる腕に力を込める。
そして、聞きたくなかった言葉を口にする。
「綾女、好きだ。俺は高校生の時から、5年経った今でもお前が好きだ」
「…………っ」
あの出来事がなければきっと別れることも、今こうやって会うこともなかっただろう。
私をまだ好きだと言うユウに心が揺れている私は…
きっと、あの頃の気持ちを取り戻している。
「今すぐに、なんて無理な事はわかってる。でも俺もこっちに帰ってきたし、少し考えてほしい」
「……無理」
「だから、ちょっとでも考えてみてほしい」
「…………。」