秘書課恋愛白書

「あの人の秘書なんて大変だろうけど。ご指名だったしな」

「うっかり名刺を渡してしまったのがマズかったんです」


あの時出会わなければこんなことにはならなかった。

自分のデスクにゴンッと額を打ち付けた。

ちょっとぶっきらぼうだけど、内面からの優しさ溢れる室長は年下を忘れさせるくらい大人でクールな人だった。


「まさかウチからここに出向するなんてな。でも社長である父も含め中原さんの仕事ぶりは評判が良い。頑張って」

「ありがとうございます」



でもそうやって自分のことを評価してくれてる人がいるからこの仕事にやり甲斐を見出している。

そんな話をしていると廊下の方が騒がしくなってきて秘書課の扉が開いた。


ぞろぞろと3人の女性が中へと足を踏み入れる。

そして私を見つけるとわざとらしく咳払いをしてこちらを見下ろして来た。



「あら中原さん。戻っていらしたの?」

「え、ええ……」



秘書課の女性社員3人組。


大企業の秘書課という花形のポジションで美人で綺麗な彼女たち。


だが私がここに配属されてから何かと突っかかってくるし、どうも私のことを目の敵にしている。
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