秘書課恋愛白書
「嘘。僕があげたいだけ。綾女、知ってる?男が女に洋服を送るのはね……」
顔を上げると社長の顔との距離、約10センチ。
至近距離で見つめられ青い瞳の中に映る自分の姿が見えた。
「脱がせる楽しみがあるからだよ」
そう言って、心底楽しそうに微笑んだ社長に背筋が凍りついたのは言うまでもない。
やっぱり変だと思ったーーー!
社長が私にスーツをプレゼントなんて、裏があるに決まってるじゃないか!
あっという間に個室の壁際に追いやられて壁ドンされていた。
「スーツご遠慮します…!」
「着ないともっと酷い目に合わせるよー」
「ひっ…」
買ったばっかりの真新しいスーツなのに、こんな風に皺にされるの嫌なんですが!
社長の吐息が顔に掛かり、ぎゅっと目を閉じる。
強張る体を解放するように腰に腕が回された。
「あっ…」
「綾女知ってた?店員は教えてくれなかっただろうけど、ここ大変なことになってるんだよ」