一匹狼くん、拾いました。
「それで、ある日会社に強盗が入ってきて、
両親は撃たれて殺された。
僕の両親は、勝手に僕を生んで勝手に死んだ。
僕は親の顔も知らない。強盗は、抵抗した両親を無残に殺した。僕は2人の死に際を見れなかった。損傷が激しくて、とても見れたもんじゃないと警察は言った。
……まぁ、よくある話だよね。ただ運が悪かっただけだ」
機械的に話して、緋也は紅茶をテーブルに置いて天井を見つめた。
「今更会いたいとも思わないし、好きだとも想わないけど、ただ、強いていうなら……顔くらい知りたかった。
父親も母親も勝手に死んだくせに、汐美と露磨は2人からもしもの時は僕を頼んだって伝言を預かっているらしいし?
まぁ、自己中にも程があるよね」