一匹狼くん、拾いました。
「……岳斗、なんで俺が危ないってわかった?」
「お前の母親が電話してきたんだよ!!相談しろよ!!なんで楓にも俺にも言わなかった!あいつはもう……っ」
俺の胸ぐらを掴んで、岳斗は泣き崩れた。
「……ごめん、巻き込みたくなかったんだ。でも、隠した意味なかったな。結局巻き込んで、俺は楓を殺した」
「……っ、お前のせいじゃない。悪いのはお前の父親だ」
岳斗は、俺の頭を優しく撫でた。
残された俺には、圧倒的な絶望感とペアルックのパーカーだけが残った。
楓………。
笑うことも、泣くことも、温もりも、楽しいことも、悲しいことも、全部君は教えてくれた。
それなのに俺は、守れなかった。
生きる意味を無くした。
家の中が地獄当然だった俺は、楓といる時間が何より幸福だった。
楓は俺の全てだった。
彼女が死んでから、俺の心はずっと寒い。
冷たい………。
それはまるで、永遠と父さんから冷水を浴びせられているみたいに。