一匹狼くん、拾いました。
幹部室でお菓子を食べながら、あたりざわりのない話をして時間を潰した。
「……俺、ちょっと外すわ」
ミカはそう言い、携帯を持って幹部室を一度出た。
「……仁、様子見てこい。
わざわざ外に出るってことは、余っ程聞かれたくないんだろうからな」
結賀に言われ、俺は幹部室のドアを音を立てないように、そっと開けた。
廊下に、ミカの声が響いていた。
「……母さん、今日帰らないから。……知り合いのとこに、泊まるから」
母親?それにしては、態度素っ気ないな……。
遠慮してるのか……?
流石に、母親の声は聞こえなかった。
「……もう謝んなくていいから《俊平!!知り合いって誰なの?昔みたいに友達作らない必要はないのよ?》
直後、ミカの携帯から聞こえてきたのは耳をつんざくような母親の必死な声だった。
友達を作らない必要……?
「うっせぇよ!!……お節介すんな」
「……はぁ」
雑に電話を切り、ミカはため息を吐く。
その時、ミカが泣いているように見えた。
ミカ………。
その涙の理由を知りたいって言ったら、お前はなんて言う……?
また、突き放すのか?
俺達はお前と知り合いじゃなくて、
友達になりてぇよ……。