一匹狼くん、拾いました。


仁は玄関の横にある恐らく脱衣所やトイレとかに繋がるであろうドアを素通りして、奥にある寝室に向かった。

寝室の前にはダイニングルームがあって、その部屋の右端には白いキッチンがあって、その隣に銀色の冷蔵庫と、白い食器棚が置かれていた。

俺は仁の後を追って、寝室にいった。

寝室は隅に黒いベッドと、二人用の白いソファと白いゴミ箱があって、その前に低めの棚と、整理タンスが置かれていた。棚の中には文庫本と映画のDVDが敷き詰められていて、その上に、テレビとDVDデッキが置かれていた。



「……お前、本とか読むんだな。映画もだけど」



「……家帰ると暇だからな。喧嘩も時間つぶしの一貫みたいなもんだし」


「ふーん」


そういうのわかる気がする。俺も、父さんのことを思い出した日は、ケンカでその辛さを紛らわしていたから。それが孤独な時間をなくすことになっていた。





< 74 / 236 >

この作品をシェア

pagetop