一匹狼くん、拾いました。



「……本当に、心底地獄だよ。



なんで生きてんのかなってすげぇ思う。
毎日毎日寒いんだ。冷水浴びせられてるみたいにさ、すげー寒いの。雪山の中にいるみてぇだよ。




それでもさ……俺は、十年も心の中のどこかで温かさを求めてたよ。


寒いのが嫌だった。


友達欲しかったよ。快楽って何か知りたかった。楽しいって、笑うって、幸せって何か本気でわからなかった!



死のうと何度も思ったよ。



でも、死ねなかった。自分の世界が一生地獄だと認めるのが嫌で、死んだらそれを認めてしまうことになる気がして、どうしようもなく怖かった。今だって、お前に止められて俺は死ねてない。




心のどこかで、俺は未だに救われたいと思ってる。……笑えるだろう?




だって十年だぜ?今更救われるはずもねぇのにな……。



楓は、俺を救おうとして、父親の執事に殺されたよ。



岳斗は、俺が自殺しようとしたら止めに来て死んだよ。




……お前にさ、そいつらみたいに、赤の他人に命かける覚悟あんの?俺と居たら、死ぬよ?」





頼むから、ないって言ってくれ……。




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