嘘つきピエロは息をしていない
「やめとく」
「あ、そうだよね。人に見られちゃうもんね」
いやもう神脇と宇野に色々見られてるからそこよりもだ。
お前といることが苦痛なんだってばよ。
「ちょっと話したいことがあって」
お前、一色のもんなんだろ?なら俺でなく聞き上手な一色に聞いてもらえよ。
「あのね、」
「って。ついてくんのかよ!」
金魚のフンみたいに俺の後ろにくっついてきやがる。
隣に並ばないのは一応は周りの目を気にしているからかもしれない。
もっとキツく、それこそ『失せろ』とか言えばこれ以上はついてこないかもしれない。
いくらでも女を遠ざける術も言葉も思いつく。
……だけどそれは、吉川には、できない。
今俺がコイツを避けてるのなんて完全に嫉妬だ。
カッコわりいなほんと。