嘘つきピエロは息をしていない
「内藤のじゃないか?」
そう言ったのは、部長だった。
「内藤……ああ、幽霊部員の」
「一度も来ないよね。まあ幽霊部員だから仕方ないけど」
「にしてもさぁ。いっかいくらい顔見せてもいいのにね」
「それな」
安達先輩と新見先輩がそんな会話をしていると、コツ、コツ、と足音が近づいてきて。
――ガラッ
部室の引き戸が開けられた。
「やぁ。甘い香りに誘われて来ちまったよ」
登場したのは、あの男。
「たもっちゃんー! 会いたかった!」
シッポを振って主人の元に飛んでいくワンコのような新見先輩を、白木氏が魂の抜けそうな顔で見つめている。
「って。えぇえ!?」
保先生の横に、誰かいるらしい。
ここからは死角になっていて、見えないが。
新見先輩がすごく驚いている。
「ピチピチの一年を連れてきたぞ」
――?
「入れよ」
保先生と部室に入ってきたのは……
「こんにちは」
西条くんだったんだ。