嘘つきピエロは息をしていない
二
「テスト多くない!?」
「そうだねー」
「定期テストと模写のループに悪夢でもみそう」
頭を抱え、嘆く真琴。
「ほんとにねー」
「いや。いやいや。なんでそんな上機嫌なの、きり。これから模試受けるって人間の顔じゃないよ」
そう言われて自分がニヤけていることに気づく。
「そりゃあ。西条くんが部活に顔を出してくれたし」
「らしいね。噂になってる。やったじゃん! でもどうやって勧誘したの?」
「勧誘ってほどじゃないよ。西条くんから興味持ってくれたの」
「ふぅん。あの王子様がねぇ」
夏休みには合宿が待っているし。
それから、なんといっても――
「このあと部活なの!」
「え?」
「土曜日に部活なんて初めてでね」
「そうなんだ」
「演劇部の顧問がようやくやる気を出してくれたおかげで。休みの日にも活動できるようになったの!」
「そういえば演劇部の顧問って――」
「保先生!!」
「へえ。あのたもっちゃんが、やる気出したのかぁ。そりゃ上機嫌にもなるね。たとえ模試でも」
「席についてー」
教室に入ってきた先生の抱えているマークシートと問題用紙の束をみて現実に引き戻された私が、そのあと真琴と一緒に引きつった顔でテストを受けたのは言うまでもない。