嘘つきピエロは息をしていない

「よっしゃ、終わった!」

 真琴が元気よく体育館へ向かった。

 私もこれから部活なんだなぁ、と考え頬が緩む。

 教室を出た、そのとき――

「ねえ、考えてくれた?」

 ナイキくんの姿が目に入った。

 そのまま立ち止まってしまったのは、いつか一緒にいた美人な子が、またナイキくんの隣にいたから。

「ほんとは別人なんかじゃないんでしょ?」
「しつこいよ。知らないって言ってるだろ」

 あれ。

 なんか、揉めてる……ような。

「じゃあ眼鏡外して前髪あげてみてよ」
「はぁ?」
「ほんとに別人なら諦めるから!」
「……っ、やめろって」

 ――マズイ

 女の子がナイキくんのメガネに手をかけた。

 それを見て、思わず飛び出す。

「ナイキくんお待たせ!!」

 なにをやっているんだ、私は。

 お待たせってなに。

 約束なんてしていないだろう。

 でも、女の子からナイキくんを引き離すにはこれしかないと思った。

 二人の間に割り込むことに成功。

 メガネは外されずに済んだ。

「ちょっと。今内貴くんと話してるの、あたしなんだけど」

 ギロッと釣り気味の目で睨んでくる。
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