嘘つきピエロは息をしていない

 いやいやいや。

 今のは、"それだけ"って話じゃないと思うのに。

 ナイキくんに少しもビックリされなかったことがビックリだ。

「流れで簡単に男の家に行くなよ」
「やっぱり手土産は必要だった?」
「アホ。そうじゃなくてだな。もう少し……」
「?」
「まぁいいわ」

 また、ナイキくんがなにか言うのを諦めた。

「マンションって行くことないからドキドキしたなぁ。エレベーターの壁が透明だった!」
「へえ」
「怖かったよー」
「だったら吉川は、360度シースルーの観覧車には絶対に乗れねえな」
「そんなのあるの!?」

 全面透明なんて想像しただけで恐怖だ。

「怖そう。でも、乗ってみたいかも」
「ゴンドラ揺らして泣かせたい」
「えええ!? それは嫌だ!」
「ははは」
< 242 / 294 >

この作品をシェア

pagetop