嘘つきピエロは息をしていない

「俺はできる限りの時間をきりに費やして、きりがまともに生活できるためのサポートをしてやりました。

きりが小学校にあがると、毎日一緒に登校した。帰りだって。直接向かった方がはやいのに、送ってから習い事に向かった。

やがてきりは“いいこと”があると俺に報告してきました。ひとつひとつの報告は俺にとって本当にくだらないことで、だけどきりにとっては大きなことで。それを聞いてやると嬉しそうにしていた。

きりは笑うようになったんです。俺の前では。

俺が長いほうが好きって言ったら髪を伸ばした。それからずっと変えずにその髪型をキープしてるんです。

可愛いと思いません?

七歳の誕生日にワンピースを贈った。晴れた空みたいな水色の爽やかな。

女の子っぽいものを身に着けたことのないきりは、最初はスカートに戸惑っていた。だけどそれを着たきりは誰が見てもかわいらしい女の子でした」
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