嘘つきピエロは息をしていない
ナイキくんの言葉がノイズ混じりに聞こえてくる。
まるで彼の言葉をシャットアウトするかのように雑音は一向に消えてはくれない。
「いっちゃん遅いね。部長も、他のみんなも。どうしたんだろう」
「来ねぇよ」
「え?」
「今日の部活はナシになった」
「それを伝えにきてくれたの?」
「違う」
「じゃあ、どうして……」
そのとき、ナイキくんがメガネを外して髪をかきあげた。
「俺が曝け出せばいい?」
「え……」
ナイキくんが辛そうな顔をしていて、私まで胸が苦しくなってくる。
「教えてやるよ。俺のこと、包み隠さずに全部」