嘘つきピエロは息をしていない

 そうだよ。

 ナイキくんは明るく脳天気な吉川きりとだけ居たそうにしていた。

 一緒にバカやってるのが楽しいって言ったよね。

「吉川が壁をぶっ壊そうとしてくれても逃げた。結果、吉川に無理をさせた」

 ほんとにね。

 全然心を開こうとしてくれなかったよね。

 でも。

 無理なんてしたつもりないし。

 ううん、ホントはちょっとしたかもしれないけれど、ワタシはナイキくんのためなら無理だってしたいんだよ。

 そう思えるんだよ。

「我慢させてごめん。散々拒絶しておいて今更虫がいいのは百も承知でいう。俺に聞きたいことがあるならなんでも聞けばいい。一日かけて話してやる。時間が足りなくなれば明日も、明後日も。吉川の話だって。気の済むまで、いくらでも、聞いてやる」
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