嘘つきピエロは息をしていない

「今年の一年はユニーク揃いだな?」

 部長が、はにかんでいる。

「なあ、保」

 隣で、ナイキくんが小声で先生に話しかけている。

「どうした、マックス」
「俺に出身聞いたよな」
「そうだったかねぇ?」
「とぼけんな。お前気づいてやがったな?」
「十五年前と言えば。俺の青春時代ですから。見覚えあってもおかしくないけど。さて、なんのことかさっぱりだな」
「……白々しい」

 ふてくされたナイキくんの頭を先生がわしゃっと大きな手で掴んだ。

「怒るなマックス」
「別に」
「自白すると。当時すげぇ衝撃受けたよ、あの男には。今でも覚えているほどに。だからお前の顔と家庭環境に可能性なら感じていた」
「どのくらい?」
「99%くらいかな」
「ほぼ確信してやがったなテメェ」
「ジョークだよ。それより、入部届の提出よろしく頼んだよ? 合宿費等の相談もいつでもどうぞ」

 そこで大事なことを思い出す。
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