嘘つきピエロは息をしていない

「はあ? 合宿ってなんの話だよ」
「すみません、先生! まだナイキくんに声かけてなくて……」
「へえ。それじゃあどうぞ」

 ナイキくんと向かい合う。

「どうした。話せよ」
「ナイキくん」
「おう」

 伝えたいことが、たくさんあるの。

 ナイキくんと初めて会ったとき、見つけたって思った。

 絶対にこの人を演劇部の顔にしようと決めた。

 一緒にお芝居がしたくなった。

 あの日からその気持ちは変わらない。

 変わらないどころか。

 それ以上に、もっともっと、ナイキくんのことが――

「演劇部に入ってくれませんか」
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