嘘つきピエロは息をしていない
自慢じゃないが、友達は多い方ではない。
西条くんやナイキくんに声をかけてこられたのって、ほんとに勢いというか。
演劇部に危機が迫っているからこそで、人付き合いが得意かって言われると、そんなことない。
一方、いっちゃんはいつも周りに誰かがいて、中心となってみんなを引っ張っていってくれるタイプ。
私にお芝居をするきっかけをくれたのも、この高校に進学する決心をさせてくれたのも、いっちゃんだ。
「友達できたって言ったよね?」
「ああ。女バスの」
「宣伝とか手伝ってくれるって!」
「そりゃ助かるな」
去年いっちゃんに誘われて遊びに来たこの高校の学祭は、レベルの高い吹奏楽部の演奏はさながら、模擬店やバザーなどもたくさんあって、中学校の文化祭とは比べ物にならないくらい規模の大きいものだった。
そして私は、演劇部のお芝居に、心が震えたんだ。
本当によくできたお話で、その脚本を書いたのは、なにを隠そういっちゃんだった。