嘘つきピエロは息をしていない
「ナイキくんは、一緒に来てくれないの?」
「俺はブレインになってやる。お前は戦闘員になれ」
ブレインとセントウイン。
「なんかゲームみたいな言い方するね」
「人には得手不得手があるだろ。正直に言おう。お前は勧誘にはクソ向いてねぇ」
「嘘!?」
「お前みたいなのが街で声かけしてみろ。ドン引きされるか通報ものだ」
「ひどい」
「だから俺がヒントを与えてやるよ」
「ヒント?」
「とりあえず杉田に接触してこい。ただし、誘い方はこうだ」
それから私は、杉田さんという人物にアタックする際の注意点をいくつか聞いた。
「了解!」
「素直でよろしい。ついでに白木ってやつもいたら声かけてみるといい」
「杉田さんと白木さんだね!」
「白木に声をかけるときは、必ずこう言え。『真希波似の先輩が二年にいる』と。そうすれば最低でも見学にはくる。そこで一気に丸めこめ」
「え? 誰?」
「真希波・マリ・イラストリアス。……ググれカス」
「わ、わかった」
一度に二人も新入部員候補を紹介してもらえた。
それも、ノーチェックだった人を。
「忘れそうならメモっとけよ」
「ううん、大丈夫。マキナミ・マリ・イラストリアス・ググレカスに似た先輩がいるって伝えるんだよね?」
私が答えた直後、ナイキくんが眠そうな目を見開いた。
「いっぱつで覚えるとは。お前実は記憶力ある方?」
「あー、うん。そうかもしれない。頭を使わなきゃいけないことはことごとく苦手なんだけど、暗記系の小テストとかは案外解けたりするんだよね」
「へぇ」
「じゃあ、行ってくるね」
「待て」
「へ?」
「ググれカスは名前じゃねえ」