嘘つきピエロは息をしていない

 ナイキくんと別れ、A組までやってきた。

 ここに来るのは西条くんに会いに来たときぶりだ。

 あのときは西条くんを探していたらちょうど後ろから声をかけてくれてタイミングよかったけど、今は名字しか知らない二人の生徒を探し出さなきゃいけないわけで、難しい。

 だけど、私は、戦闘員だ。

 いつまでも迷うわけにも、逃げ出すわけにもいかない。

 思い返せば、西条くんのときは一人で突っ走っていた感が否めなかった。

 けれど今回は違う。

 ナイキくんがついてくれている、と思うと足が少し軽くなったし、全身から力が抜けてふわっと気分まで軽くなった。

 ――ひとりじゃない

 近くの席の子に声をかけて呼んでもらうのが一番かな。

「あれ。君は」

 正面からやってきたのは、西条くんだった。

 今日は女の子たちとではなく、男友達と二人でいる。

「この前の。えっと、吉川さん」
「覚えてくれてたんですか」
「インパクトあったから」

 そう言って笑ってくれた西条くんにはやはり華がある。
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