嘘つきピエロは息をしていない
ぽかん、としたあと
「……杉田? ちょっと待って」
西条くんが教室に目を向ける。
私が杉田さんをたずねて来たことがとても意外だったような反応に見えたが。
いったいどんな人なんだろう。
「ああ、窓際にいるね」
「ほんとですか! もしよければ、呼んでもらってもいいですか?」
「んー、杉田になんの用なの」
「え?」
「俺はもう呼んでもらえないのかな」
――西条くんの声色が変わった
「あ……いや。西条くん、忙しそうだし」
そりゃあできるものなら勧誘したいですよ。
当たって砕けてやります。
でも、ナイキくんは、杉田さんをあたってみろと私にアドバイスしてくれた。
だから今はナイキくんを信じて動いてみようと思う。
「……杉田さんに。お願いしようかと」
「ふぅん。杉田なんかが俺の代役か」
――え?
「君、ムカつくなあ」
「……っ」
「まあ。最初から期待に応えてあげる気なんて――微塵もなかったけど」