嘘つきピエロは息をしていない
二
放課後、ひとり昇降口で俺を待っていたきりは、顔を合わせるや否や昼休みにあったらしい出来事を楽しそうに語り始めた。
きっと二年の方が遅く解散したから待たせてしまっただろうに、そんなこと少しも気にも留めない様子で。
小学生の頃は当たり前のように一緒に登校していた俺たちの関係も、俺が中学にあがった頃には、下校中にばったり出くわせば一緒に帰るくらいの距離感へと変化した。
それでも現在進行形で気兼ねなくお互いの家を行き来したり携帯で連絡を取り合う関係ではあり、高校にあがってからは同じ部活な分、きりとの距離が縮んだのは言うまでもなく。
部活のある日はほぼ二人で帰っているし、ない日も今日みたいに一緒に帰ることはあった。そんな場合はきまってきりから俺に連絡が入る、という流れだ。
たとえ他の誰かに先に誘われていたり、はたまた下校途中本屋などに寄りたいと考えていても、俺はきりを優先しがちだ。