嘘つきピエロは息をしていない
そんな俺を、吉川は不思議そうに見上げてきた。
潤んだ瞳から目をそらせない。
俺の心臓が大きく鼓動した。
どうして出逢って間もない人間に、こんなに心揺さぶられてしまうのだろう。
他人なんかどうでもよかったのに。
関わりたくなんてなかったのに。
自分の壊れてしまいそうな心を守るだけで精一杯だった。
そんな俺がどういうわけか、吉川の為なら、頭フル回転しちまってる。
関わらずにはいられない。
「向いてないなんて言って悪かったな。やり方を変えてやればこんなに上手くできるなら、ただの戦闘員なんかじゃねーよお前。もう俺のサポートなんてそう必要ねぇかも」
「そんなことないの。ナイキくんが手伝ってくれてると思えたから心が軽くなって行動できたんだよ!」
「……そうかよ」
「あのね、ナイキくん」
「あ?」
お前の存在が日に日に俺の中で膨らんでいる。
消えて欲しかったのに。
今は、どうか居なくならないで欲しいとさえ……。
「私、ずっと考えてたの。なんでナイキくん顔隠したり偽名使うんだろって。なんで優しいとこあるのに捻くれたことやイジワルなこと言うんだろうって」
「イジワルなことは認めるが俺がいつ捻くれてた?」
「やっ……ごめ……」
「それで? 答えはでたのかよ」
お前のお気楽な脳みそで出したものを聞かせてもらおうじゃねぇの。