**零れる涙**

俺のために泣く人がいるーー

俺のベットの目の前に、座る後ろ姿。


小さな背中、シワシワの服、白髪混じりの父親の背中だ。


俺の左手を握ってる。


「進…………なんでっ」


親父ーーー。


親父とは、ずっと一緒にいた。


母親は、俺が3歳の時事故で死んだ。

母親のいない俺のために、父親はいつも側に居てくれた。


左手の零れた涙………。


父親の涙だと、わかった。


< 58 / 154 >

この作品をシェア

pagetop