あなたと私と嘘と愛
それを見た瞬間ゾッとした。
着信がほぼ坂井さんで埋まってる。
しかもラインの件数も尋常じゃない。
「ご、50件…」
開くのが恐く顔面蒼白になる。
思わず携帯をベッドに投げ捨てた。
さすがにこれを見てうーちゃんも顔を強張らせ、深刻なものに。
「典型的な行動ね…」
普通の人はここまでしないと言われ、やっぱり彼が普通じゃないのだと思い知らされる。
そしてすぐにベッドの上で新たな着信が鳴った。
ビクッと体が凍り付く。
うーちゃんと顔を合わせた瞬間画面には坂井さんの名が…
「とりあえず1度出ましょう。このまま無視するのは絶対によくないから」
「あ…うん」
うーちゃんの力のこもった声に強張りながらも頷いた。心臓が壊れそうなほどばくばくする。そして今まで感じたこともない嫌な汗も。
(怖い、怖すぎる)
恐る恐る携帯を手にすると、震えてるせいかなかなか指が動かせなかった。それでも意を決め指先で横にスライドした瞬間最高潮の緊張が…
「………は」
「亜香里?」
はい、という前に坂井さんの声が聞こえた。
聞いた瞬間誰が聞いても怒ってると分かる低く凄みのある声だった。
「もしもし?何で携帯に出ないの?ラインしても既読にならないし。僕からの電話は必ず出てっていつも言ってるよね?僕がどれだけ心配したと思ってるの?ずっと家にいるのは分かってるんだよ。いったいどうしたの?」