あなたと私と嘘と愛
……家にいるのは分かってる?
それってつまり、私の行動は把握されてるってこと?
「今亜香里の家の前なんだ。これから会おう。会えるよね?」
思わず「え…」となる。
音をスピーカーにしているため、うーちゃんにも丸聞こえ。彼女もまた驚いた顔をした。
「昨日は悪かった。僕も言い過ぎたと思ってね。それに妹のことも謝りたい。彩音は今さっきやっと帰ってくれたよ」
ああ、そうか。
だから今朝は来なかったんだと納得した。
来なかったんじゃなく来れなかったんだと。
うーちゃんを見るとさすがに渋い顔をして顔を横に振った。
もう夜も遅いこともあり、今外に出るのは危険だと判断したらしい。
会うなら昼間とか明るい時間帯の方がいいんだと。
だから今日は体調不良を理由に何とか断った。
彼は不満そうではあったけど、微熱があると告げると渋々だが納得してくれた。
「じゃあ明日、楽しみにしてるよ」
「お、おやすみなさい……」
彼の仕事が終わったあと会うことになった。
幸いにも歯医者のバイトはない日で休み。
電話を切ると尋常じゃない汗が手に滲んでるのが分かった。
通話が切れる直前「亜香里愛してるよ」と言われ、固まった。
風邪でもないのにぞくぞくとひどい寒気がし、携帯を床に落としてしまった。