あなたと私と嘘と愛
「…何で…」
幽霊でも出たかのように彼を見る。
しかも坂井さんは私服だった。
仕事は休みなのだろうか?
今日は午前中だけの授業だった。
だからこんな昼間から現れるなんてちょっと油断した。
それにいつもと少し雰囲気が違う。
いつも清潔にしていた顔に無精髭が生えている。
「ど…してここに…」
「こうでもしないと亜香里に会えないからね。待ってたんだ」
最近ヒヤッとすることばかりだ。
しかもかなりのホラー。お化け、いやゾンビでもおかしくない。
彼の登場に心拍数が跳ね上がる。
「…も、もう話すことなんてないですよ」
「まだ拗ねてるの?いい加減機嫌を直してくれないか?あれから2週間だ。僕の誠意は伝わってないのかな?」
「は、…誠意?」
「君を怒らせてしまったお詫びに亜香里の好きな物を毎日送ったじゃないか。あれじゃまだ伝わらない?俺のせめてもの気持ちだよ。それともまだ他に欲しいものがあるのかな?」
「あ、ありません!もうそんなことしなくていいですからっ。それに坂井さんとやり直すつもりはありません。もう別れたいって言ったでしょ?」
やっぱりずれている。
この前話した気持ちを全然理解していない。
彼は私がただ機嫌を悪くし、怒ってるとしか思ってない。