あなたと私と嘘と愛
「もういいだろう?仲直りしよう」
「だから…っ」
「僕は君が好きで亜香里も僕が好き。本心は分かってるんだ。そろそろ素直になってくれないか」
2歩近付かれたので3歩下がった。
まるで気持ちが伝わらない。
彼の一言一言に吐き気がする。
「あなたのことなんて好きじゃない」
「そんな嘘を…」
ここから逃げ出したいのをぐっと耐える。
(どうやったら分かってもらえるの?)
そう思った時、彼の携帯電話が鳴ったけど彼は見ようともせずあっさり電源を切った。
「…出なくていいんですか?」
「別に問題はない。どうせ仕事だよ」
じゃあ出なきゃまずいでしょ。ひきつった顔を向けたけど彼に冗談を言ってる様子はない。むしろ真剣そのもので社会人としての人格も疑われる。
「亜香里、いいから僕の所へ戻っておいで」
「い、嫌です」
「愛してるんだ」
「私は愛してませんっ」
いい加減こんなやり取りも疲れてきた。
それに仕事もしないいい加減な人を愛せるわけがない。
けど坂井さんは「愛してる愛してる」を連発し私の言い分なんて聞いてくれない。嫌がる私を見て次第に目付きもヤバくなる。