あなたと私と嘘と愛
彼の顔が酷く歪んで見える。
「さぁ、どうする?賢い亜香里なら分かるよね?」
「卑怯よ!」
足がガクガクと震え、彼を見る。
ショックと恐怖で目眩がして、足がふらつきそうになったところで近づいてきた彼の手が私の両肩を掴んだ。
「そうだ。僕と一緒に暮らそう」
「…は?」
「そんな複雑な環境に君を置いておけない。君もいずらいだろう?あんな若い男が義理の父親だなんて何か間違いでもおきたら大変だからね」
目の前の瞳が悪性に光る。馬鹿げてる。
何が何でも私を逃がさないつもりだ。そんな必死さは溝を深めるだけなのに。
余計拗れるだけなのに。
「僕が保護してあげるよ」
「もうっ、いい加減に…」
泣きたくない。こんな奴の前で泣きたくないのに恐怖で視界が滲む。
怖い…
もうやめてと叫びそうになった時、前方から背の高い人影が見えた。そして聞き慣れた声がして視線がそちらに向かう。
「それって立派な脅迫じゃないの?」
……え?
「彼女酷く怯えてるんだけど。何してくれてんの?」
ぐっと肩に強い力が入れられた時、見知った顔が現れた。
「あんた自分のやってること分かってる?」
聞き覚えのある低い声、そして一際目立つ整った甘いマスク。
いつもより鋭い目付きの表情と目が合った瞬間、私はハッとして目を見開いた。