あなたと私と嘘と愛

「そんなとこで寒くないの?」

「わっ」

急な気配を感じびくついた。
優斗の登場に不意打ちをくらった私はドッキリを食らったように振り返る。

「ちょ、急に現れないでよっ…」

ビックリした。
優斗のキョトンとした姿が目に映ったあと、彼の口も呆れたように動く。

「急って、さっきベランダのドアもノックしたけど?」

「し、知らないもん。聞こえなかったし」

ムスッと私も不満げな顔を向けて心臓を落ち着かせた。
優斗が相変わらずな顔で側にきたけど、何となく離れなきゃと身構える。

「大丈夫?だいぶ酔ってるんじゃない?」

「い…いい感じに飲んでるのでご心配なく」

何で?急にまた心臓が騒がしくなってきた。
ただ隣に来ただけ。それだけなのに急にそわそわし始めるなんてやっぱり変。
だからそっけなく。いつもの私らしく冷静に前を向むいた。

「いいのあの人は?ほっといたらまずいんじゃない?」

「え?」

「愛する奥さんをほっといちゃだめでしょ」

そうだ、あえて母の話題にして気分を変えよう。

「ああ、悠里さんならもうダウンしちゃったよ。今ソファーで熟睡中」

「へ、もう?」

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