あなたと私と嘘と愛
「…ゆうと…」
「亜香里」
肩に何かが触れた。手の感触だ。それがやけにリアルで、意識が消える寸前頭上にかざされた物の存在に気付き、ハッと意識が呼び戻される。
「やっと見つけた」
耳に届いた声は幻聴じゃない。
その声は低温で静か。とても穏やかで私の好きになった人の声に似てる。
思わず顔を上げた。その時雨が私の体を避けて落ちていくのが見えた。
「すごい心配した。こんなとこで、こんなに濡れて…」
「何やってんの?」そう言って傘を差してる人物。頭上から聞こえた声はそう、やっぱり私の好きな人、
「ゆう、と…?」
「急にいなくなるからビックリした。本気で焦ったよ」
「……」
確信した瞬間再び胸が熱くなる。鼓動が一気に高鳴ったと同時に優斗の顔が視界いっぱいに映り込む。
「ど…して…」
「逃亡した娘が心配で…って、冗談。普通あんな風に出ていかれたら誰だって追いかけると思うけど」
目を細め笑いけてくる。
傘を差し、私を雨から遠ざける彼はいつもの彼だ。怒ってる様子もない。