あなたと私と嘘と愛
うっ…と両手で顔を覆う。
どうしてこんな…
もっと普通の家庭に生まれたかった。
平凡でいいからもっと温かな家庭に。今までそれをどんなに望んだことか。
「だから優斗をこれ以上巻き込めない。勝手だけどもう逃げて。優斗はもう私達親子から離れたほうがいいんだよ」
いやだ。本当はそんなことしてほしくない。奥底ではそう思ってる。めちゃくちゃ矛盾してる。けど我が儘はダメ。言っちゃいけないと理性が働く。
「優斗は幸せに…」
「…たく…」
…なのにため息が。
優斗のため息交じりの声が私の耳に届く。
「本当勝手だね」
「え?」
「さっきから聞いてれば自分達のことばかり。そこに俺の気持ちはないの?俺の想いはどうでもいいの?」
優斗の声が低くなる。
「俺って捨てられるんだ」
「え?」
「このまま用済みになった俺はポイ?信じてた亜香里にも捨てられる俺はどうすればいいの?」
驚いて振り返る。
その時雨から遠ざけていた傘がふわっと飛んだ。変わりにたくましく、温かなぬくもりが私を包み込む。
「…正直困る。俺が離れたくない場合は?一緒にいたい場合はどうしたらいい?」