あなたと私と嘘と愛
おんぶなんていつぶりだろう…
子供の頃?
本当の父がまだ生きていた頃だろうか?
ふとそんなことを考えながら、ずぶ濡れになった私達は別荘に帰るとまずお風呂に入った。
私から先に入ることになり、気付けば外は真っ暗になっている。当然部屋にはもう母の姿はなく、
「…あの人は?」
「俺がここを出るより先に帰ったよ。暫くホテルに泊まるから帰らないって」
「…そう」
よっぽど暗い顔をしてたのだろうか。
優斗が私の側に来て頭を撫でる。
「そんな顔しない。悠里さんのことは今はそっとしとこう。わこちゃんや社長さん達が付いてるから大丈夫だと思う」
「…ん…」
「それより、こっちにおいで」
「え?」
手を引かれソファーまで誘導される。なんの躊躇なしに手を繋がれた私は顔が真っ赤になる。
けどそんな私に構うことなく、優斗はまず私を先に座るとそのあとすぐしゃがんで私の足に触れる。
「けっこう派手に切れてるね」
「あっ…」
驚く私を無視して素早く手当てをしてくれた。優しく私のかかとに触れながら真剣な顔付きで絆創膏を張ってくれる姿にドキドキと胸がざわついてしまう。
けどそれは序章に過ぎなかった。
何故ならその後私の濡れた髪に気づいた優斗が何を血迷ったのかドライヤーで乾かしてあげると言い出したのだ。
顔を真っ赤にする私とは裏腹に優しく微笑む優斗。あろうことかその後すぐ本当にドライヤーを持ってきた彼は私を膝の間へと座らせ平然と髪の毛に触れる。後ろからハグできそうな位置だ。
「ちょっ…」
さすがにこれには難易度が高い。慌てた私はすぐに立ち上がろうとしたけれど、
「動かない」
優斗は私を離してくれなかった。
別に抱き締められているわけではないけど、こんなシチュエーションはドラマでしか見たことがない。
ドッキンドッキンと鼓動がやばい。
「あ、あの…」
「髪乾かすよ。まだけっこう湿ってる。さっきまで雨に濡れてたんだからちゃんと乾かさないと風邪をひく」
「…す、すみません…」