あなたと私と嘘と愛
ドライヤーの温風が私の髪をなびかせる。当然戸惑いを隠せない私は落ち着かない。
けど大人しくなった私に満足した様子の優斗は気のせいかご機嫌な様子。
「亜香里の髪ってサラサラだな。なんか手入れでもしてるの?」
「…いえ、特には…何もしてません」
「ふーん、て、さっきから何で敬語?」
ふっと、笑いめいた声が聞こえたけど答える余裕なんてない。
ただ感じるのは緊張の5文字。
「な、なんかすっごく落ち着かない」
「ん?」
「優斗が違う…。別人みたいで混乱する」
「それはまぁ、色々と吹っ切れたからじゃない?亜香里への気持ちを隠さないって決めたから」
「!?」
またそれを…
だからどうしてこんな展開に?なんで、どうして?と、そればかり。
「ごめん、なさい。頭の中が整理ができない。どうしても…」
「まぁ、そうだね。亜香里の気持ちは良く分かる。でも、本当に悠里さんのことは気にしなくていい。正直に言うと元々彼女とは複雑な関係で、普通じゃない契約を結んでる」
「…え?複雑って…?」
ますます分からない。
でも今契約って…。思わず優斗の方へ振り向くと、同時にドライヤーが止んだ。
「ごめん、今はそれしか言えない。俺の一存では無責任なことは言えないんだ。けどちゃんとしようと思ってる。彼女とはもう一度話さなきゃいけないと思ってる。だからそれまでは何も詮索しないでほしい」
「そ、そんなの勝手だよ…」
「…ごめん。だから身勝手なことはしな
い。亜香里が嫌がることは一切しないと約束する」
申し訳なさそうに私を見る優斗に言葉を閉じる。ここまで言うのだからきっとそれはよほど大事なことなんだろう。
二人にしか分からないことがきっと…
…けど、もやもやする。
はいそうですか、って納得できない自分。
二人には秘密があるのだと知った瞬間、得体のしれない感情が。
面白くない。これが嫉妬だとすぐに気付いた瞬間次第に表情が曇っていく。