あなたと私と嘘と愛
その夜、真由はバイトがあるため夕方には帰ってしまった。だから夕御飯はいつも通り優斗と二人で食べることに。
仕事が忙しいのかあれ以来自室から1度も出てこない優斗を気にしつつ、夕ご飯の支度に取りかかろうと冷蔵庫に手を掛ける。
(何作ろうかな…)
悩んだ末ビーフシチューを作ることにした。ちょうど頂き物のお肉もあるし、今日はご飯よりパンを食べたい気分。
最近では私もちょくちょくこんな風に料理を作るようにしていた。
前までは優斗がほとんどしていたけれど今は私も率先してやっている。
つい最近まで外出禁止で専門学校にもバイトにも出れなかったため時間があってしょうがなかったんだよね。
昔からうーちゃんに簡単な料理は教えて貰ってたから作れないというわけではないし、私も自分で何かしたいなって。
それに好きな人の、優斗が美味しそうに食べてくれるのを見るのは正直嬉しい。
最初こそ、「え、亜香里作れるの?」と心配されたが、私が作った料理を美味しく食べてくれる優斗に上手く言えないけど幸せな気持ちが込み上げる。心が温まっていくのが分かるんだ。