あなたと私と嘘と愛

悠里さんが頭から離れなくなった。
部屋で仕事をしていてもふと彼女を思い出す。
テレビで流れるCMや、ドラマを見た時など、この人は大丈夫なんだろうかと心配になる。
あんな弱々しい姿を見せられた後で気にするなっていうのが無理な話なわけで。

なのに、あの日以来彼女からの連絡は途絶え、少し前の強引さが嘘のように静かな日々が戻ってる。

いったい何なんだ、と不服に感じながら俺は自分の矛盾する行動に疑問を抱く。

連絡が来なければほっとけばいいだけの話し。する必要のない面倒事に自ら関わるのなんてあり得ない。
そう思うのに、その日俺は頼まれてもないのに撮影現場に顔を出していた。

気付けば悠里さんの姿を探してる。
表向きは撮影の見学、けど本心は彼女の様子を確認するためだけに足を運んだ俺はどうかしている。

「あら、優斗じゃない」

けど来るんじゃなかったとすぐに後悔をした。
撮影を終えた悠里さんの横には30代ぐらいの男性が側に張り付いている。しかもその相手は外人で、とても顔の整ったモデル体型のイケメン。

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