月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
そして、睡眠を取ったハーキムさんが起きて、私達は遂に目的の場所へと向かった。

駱駝を走らせる間、何度も立ち止まって、辺りを見回した二人。

「来てるな。」

「来てますね。」

聞かなくても分かる。

たぶん、宝石を狙っている人達だ。


「ハーキム。」

ジャラールさんが駱駝を、ハーキムさんの駱駝に寄せる。

口をパクパクしている二人。

そして、顔を見合わせて頷いた。


ジャラールさんが離れると、ハーキムさんは突然、私を後ろから抱き寄せた。

「えっ?何?」

「静かにしろ。ジャラール様の言葉だ。」

私は、ハーキムさんを見た。

「前を向け。俺が話している事を悟られるな。」

近くに敵がいる。

震えながら、前を向いた。


「『宝石を手に入れたら、来た道とは別なルートを辿る。時間もかかり、危険も伴うが付いてきて欲しい。』」

私は大きく頷いた。
< 102 / 300 >

この作品をシェア

pagetop