月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
すると心なしか、私を抱き締めるハーキムさんの腕が強くなった気がした。

「大丈夫だ。俺もいる。」

ドクンっと、心臓が鳴った。


この暖かい感じ。

光清と似ている。

嘘だ。

そんなはずはない。


私はハーキムさんを、そっと見つめた。

ハーキムさんの瞳に、私が映る。

もう少しでキスできそうな距離だ。


「ハーキムさん。」

「クレハ……」


有るわけがない。

私は、再び前を向いた。


「出発だ、ハーキム。」

「はい。」

ジャラールさんのかけ声で、碧のオワシスに近づいていく私達。

でも着いた途端、襲われる?

それても、宝石を取ってから?

着いたからと言って、油断はできない。


ジャラールさんとハーキムさんは、敵を確認しながら、前へ進む。

そして、はるか遠くに突然木々が見えた頃。

ジャラールさんとハーキムさんは、立ち止まった。


「見えた。あれが"碧のオワシス"だ。」
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