月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
「あれが?」

ベージュ色の砂の世界に、ぽっかり浮かぶ緑の木々と、青い湖。

いつかハーキムさんが言ってた。

周りのオワシスが消えても、ここだけは消えないって。

「行こう。もうすぐだ。」

ジャラールさんが、先陣を切る。

ハーキムさんも、それに続く。


そして、碧のオワシスが手に届くところまで、来た時だ。

私の目の前に、大きな網が広がった。

「ハーキム!クレハ!」

気づいたら、駱駝から落ちていた。

「痛い〜!」

お尻を擦りながら、顔を上げるとそこには、黒づくめの男達が。


「クレハ!」

一緒に網に捕まったハーキムさんは、さすが自分で脱出。

「クレハ!今、助ける!」

ジャラールさんも、駱駝を降りた時だ。

私は黒づくめの男達に、捕まった。


「大人しくしろ!ジャラール王子。」

「その言い方は、我が国の者か!」

「いかにも。」

そして私の首に、短剣を当てる。
< 104 / 300 >

この作品をシェア

pagetop